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クレーム対応編 ~悪質クレーマーから管理職がチームを守る方法~

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チームをマネジメントする上で避けては通れないクレームへの対応。小売店を例にとると、クレームを言う割合は、不満を持ったお客のたった4%と言われています。つまり、96%はクレームを言うことなく店を去るサイレントクレーマー。4%のクレームには、問題点を探り改善することで更に顧客満足を上げることが出来るチャンスも大いにあるため、『お客様の声』といってクレームを集めている企業もあるほど。

しかし、クレームは企業側に問題があるものばかりではありません。一部ではありますが、無理難題やいちゃもんに近いレベルのものを要求してくる、いわゆる『悪質クレーマー』という存在もいることも確かなのです。

悪質クレーマーに振り回されては、時間も体力も大きく無駄に消費してしまいます。今回はそんな悪質クレーマーから、マネージャーとしてチームを守る方法を考えていきましょう。

 

 

1.悪質クレーム対応時に気をつけること

(1)クレームが大きくなることを恐れない

悪質クレーマーに出会ったしまったときは、必ずすぐに会社に報告しましょう。そして会社としての対応の方向性を決めるのです。

マネージャーだからと言って自分一人の考えで行動してはいけません。必ず会社として情報を共有することが大切なのです。

会社がバックについてくれていると思うことで安心感が芽生えます。悪質クレーマーは大概、クレームを大ごとにしようとします。「お前の社長に言ってやる」「悪い噂を広めてやる」等…。

クレームが大きくなることを恐れてはいけません。会社としてできることとできないことがあります。最初にそこのラインをはっきりさせることで安心感と自信をもって悪質クレーマーに向かうことが出来るのです。

 

(2)一人では対応しない

悪質クレームの対応をする上で最も大切なのが、『一人では対応しない』ということです。危険なことがあるかもしれません。一人が対応している間、万が一何かあったときはすぐ警察に連絡できるよう、必ず2人以上で対応しましょう。人数が多すぎてもダメです。相手が刺激され激高する可能性もあるからです。基本的に、クレーマーの人数+1名と考えるといいでしょう。そしてもう一つ。相手が女性の場合、必ずこちらにも女性を入れること。もし体に触れてしまった場合「セクハラだ!」となる可能性もあるからです。

 

(3)自分の考えを言わない

悪質クレーマーがよく使う手が、「お前はどう思うんだ」「お前の考えはどうなんだ」と言ってくること。これは、対応している者の言葉尻をとらえて攻撃してくるチャンスを探っている言葉なのです。

万が一『私が悪いと思います』とか『慰謝料を払うべきだと思います』なんて言ってしまっては、悪質クレーマーの思うつぼ。『会社としての考えは○○です』と自信をもって答えましょう。

今すぐ答えられないことを言われ「どうしてくれるんだ!」と迫られたときは、『上司に確認し、後日回答させていただきます』と答えればいいのです。

 

(4)悪質クレーマーという情報を集める

悪質クレーマーと対応する上で常に持っていたい考えは、『いつでも弁護士に相談する準備をしておく』ということ。

しっかりとメモを取ることが大切です。ボイスレコーダーを忍ばせておくことも必要になるかもしれません。私が悪質クレーマーの対応をしたときは『言った言わないはトラブルのもとになるので録音させていただいてよろしいでしょうか』といって目の前で録音を開始したこともあります。

弁護士に出す情報が増えるというメリットだけではありません。録音されているという安心感。そして万が一脅迫行為を受けたら相手を訴えることもできるという考えは、クレーム対応をする上で大きな強みになります。だって相手が暴言や脅迫をして来れば来るほどこちらが有利になる条件が揃ってくるのですから。

 

2.私がマネージャーとして失敗した例

私が複数店舗の管轄しているエリアマネージャー時代、ある店舗が悪質クレーマーに悩まされていました。しかし当時の私は、会社の『顧客第一』という理念のもと、店舗の店長に穏便に済ませるよう指示を出しました。

しかし、それが間違いだったのです。悪質クレーマーの要求はどんどんエスカレートし、店舗が自分の所有物の様に好き勝手ふるまうのです。しかし、本社(私)の指示は『顧客第一』。どんどん店長も従業員も疲弊してきてしまいました。

そしてあるとき。『仕事を辞めます』と私は複数の従業員に言われてしまいます。理由は、いつその悪質クレーマーが店舗に来るか、いつ電話が来るか、不安で仕事が手につかない。こんなにストレスを抱えてしまうなら、好きな仕事でも辞めるしかないという判断に至った、という事を私は従業員に聞かされました。

ここで私は重大な間違いに気付くのです。守るべきは目の前の小さな売上ではなく、従業員であるということに。

そこからの私の行動はとても速かったと記憶しています。店長や従業員にクレーマーと戦うという意思表示をし、資料をまとめ経営陣にプレゼンし『出入り禁止』の許可をもらい、弁護士事務所へ向かいました。そして弁護士と相談した上で悪質クレーマー宅へ配達記録で『出入り禁止』の通知を送ったのです。

その後、店舗ではいつその悪質クレーマーが怒鳴り込んでくるか心配してましたが、その後ピッタリと店舗に来ることはありませんでした。堂々とこちらが行動すれば、悪質クレーマーといえどもひるんでしまう代表的な例だと思います。

従業員には笑顔が戻り、店舗の売上も好調に上昇することになります。私はおろかな考えで大切な従業員を失ってしまうという大きなミスを犯してしまうことを寸前のところで免れることが出来たのでした。

3.まとめ

『企業は人』です。管理職として守るべきは、目の前の一時的な売上ではありません。会社にとってプラスなのかマイナスなのかを冷静に見なければなりません。そしていざというときは目の前の一時的な売上を捨て、部下を守らなければならないケースも出てくるのです。

一つ注意したいのが、安易に悪質クレーマーと決めつけないことです。最も大切なのは、管理職は常に冷静で状況を見るということ。その上で悪質であればひるむことなく堂々と対応すればいいのです。