コミュニケーションスキルを磨いて営業力、販売力を上げる方法
対人関係で大変重要と言われるコミュニケーションスキル。コミュニケーションスキルを磨くことで周りとの連携がしやすくなり仕事がはかどるだけでなく、営業力や販売力の向上にもつながります。ここでは、コミュニケーションスキルがなぜ営業力、販売力を上げるのに大切なのかをお話していきます。
1.コミュニケーションとは
(1)コミュニケーションの定義
コミュニケーションとは、送り手から受け手へと情報が移動する過程です。コミュニケーションがなければ情報を伝えることができません。
(2)コミュニケーションの仕組み
コミュニケーションには①誰(送り手)が②何(メッセージ)を③どのような経路で④誰(受け手)に伝え、⑤どのような影響(効果)を生じたのかという、5つの要素があります。営業や販売では、コミュニケーションスキルを磨くことで、より良い影響(効果)が期待できるようになります。
つまり、お客様とより良いコミュニケーションをとることが出来れば、お客様に満足してもらえる機会がどんどん増える!ということになります。
2.コミュニケーションの基本
(1)第一印象を良くする
第一印象は0.5~10秒で決まると言われています。第一印象を決める要素は
①視覚的要素:見た目の印象(服装・髪型・化粧・表情)
②聴覚的要素:声の印象(声のトーン・スピード・間・イントネーション等)
③言語:話の内容(短時間に相手に伝えられる技術)
…の3つです。以上の3点に注意を払えば、第一印象は良くなります。
(2)メラビアンの法則
視覚・聴覚・言語という3要素は『メラビアンの法則』というものでも挙げられています。心理学者のメラビアンが論文の中で、人が第一印象を決める要素は先に挙げた3要素と述べているのです。
例として次のようなもので考えてみましょう。
例)怒ったような表情で「ありがとう」と暗い声で伝える
感謝の気持ちを伝えたいはずなのに、表情と声が矛盾してしまっています。このような場合、相手はありがとう(言語)よりも、暗い声(聴覚)と怒ったような表情(視覚)を優先して受け取ってしまうのです。
印象に影響を与える割合は以下の通りです。
・視覚的要素・・・55%
・聴覚的要素・・・38%
・言語・・・7%
3つの要素に矛盾が生じた場合、人はどのような要素を優先して受け取るかという数字になります。話す内容は二の次…という事では決して無く、3つの要素が一致してこそ自分の感情や気持ちが相手に伝わりやすくなるのです。
(3)第一印象で気を付けること
①身だしなみ
特に重点を置かれるのは清潔感。自然なメイクや整えられたヘアスタイル、清潔な服装が大切です。お客様がどう思うか、信頼される身だしなみを心がけましょう。お客様の前に立つ前に、一度鏡で全身を確認する、ということも効果的です。
②表情
スマイルは第一印象に大きな影響を与えます。口角の上がった優しい表情でほほ笑むことで、お客様に良い印象を与えます。また、このコロナ禍の状況の中では、マスクで表情がわかりにくいこともあります。特に目元の表情には気をつけましょう。
3.好感度を上げる話し方をするために
(1)通常の言葉にプラスアルファを心がける
例えば帰り際にお礼を言うとき。
「本日はありがとうございました」+「お気をつけてお帰り下さい」
の様に、プラスアルファのお声がけを意識するとお客様との距離は近くなります。①共感力②一歩先をイメージ③優しい思いやりのある言葉…。これらを意識していくことでお客様は親近感を抱いてくれるのです。
マニュアルの言葉が悪いという事ではありません。ただし、マニュアルは最低限の言葉、マニュアル通りだけしておけばいいということはありません。私も若かりし頃、『お前はマニュアル通りだな』とお客様にお叱りを受けたことがあります。きっと、融通が利かなく機械的な対応だったのでしょう。今ならそのときのお客様の気持ちがよくわかります。
(2)お客様を良く『観る』
お客様を「見る」のではなく「よく観察して観る」と、お客様が声に出さなくても気持ちを汲み取れることがたくさんあります。一歩先のイメージ(予見性)を持って行動し、「目配り・気配り・心配り」を持って行動することが大切なのです。
(3)一歩踏み込む勇気
ときには一歩踏み込むと「余計なお世話だ」と言われる可能性もあります。電車で席を譲ろうとしたことがある方はこの気持ちがよくわかるのではないでしょうか。しかし、相手によって反応は異なるため、行動して観なくてはわかりません。ほとんどの場合は喜ばれることの方が多いのです。
失敗したら心からお詫びすればいいだけ。今回はうまくいかなくても、他のお客様には喜んでもらえるかもしれません。一番いけないのは何も行動しないこと。現状を維持するだけでは成長はなくなってしまうのです。喜んでもらえる可能性のある行動は積極的に行う事が大切です。
4.信頼感へつなげる聴き方
(1)3つの聴く
『きく』には3種類あります。
①『聞く』:意識せず音や言葉が耳に入ってくる状態。Hear。
②『訊く』:たずねて答えを求める。答えに迫るため質問すること。
③『聴く』:耳だけではなく、目と心を併用してきくこと。
信頼感へつなげる『きく』は③の『聴く』です。傾聴とはじっくり共感的に聴くことでお互いの間に信頼感が芽生え、そして安心感が生まれます。相手の人となりや考え方を理解するのは『傾聴力』です。相手の気持ちを的確にくみ取れるからこそ良好な関係を築くことが可能になるのです。
(2)傾聴の基本的態度
アメリカの臨床心理学者のカール・ロジャース※は、カウンセリングに桶慶長の基本的態度に3つの条件をあげています。
※臨床心理学者の権威。現在では当然のものとなっているカウンセリングの手法を創始。心理相談相手を最初にクライエントと称した
①受容(無条件の肯定的配慮)
相手をそのまま受け入れること。どんな相手であっても受け入れることが大切です。
②共感(共感的理解)
相手が感じているように感じ、考えている様に考えること。相手の主観的な見方、考え方、感じ方を『あたかも』その人の様に見たり、感じたり、考えたりすること。『あたかも…の様に』という姿勢が大切です。
③自己一致
うわべを飾ったり、見せかけの態度ではなく、ありのままの態度でいることです。嘘のない態度をとることが大切です。
(3)傾聴力の活かし方
「傾聴力」は、営業や交渉にも大きく役立ちます。
傾聴力が磨かれていくと、お客様との会話の中から顧客ニーズを引き出すこともできます。相手の考えに寄り添い共感して意見を探ることで、何を求めているか理解できます。
その結果、的を射た提案が出来るようになり、お客様に満足していただくことができ、結果的に売上アップや業績向上につながっていくのです。
(4)『聴く』質問の仕方
①オープンクエスチョン(開かれた質問)を使う
ハイかイイエで答えられる質問は、クローズドクエスチョン(閉ざされた質問)といいます。それに対しオープンクエスチョンは相手が自由に話せる質問です。
例として、ある薬局での風景をイメージしてみましょう。
・クローズドクエスチョン「風邪薬をお求めですか」
・オープンクエスチョン「今日はどうされましたか」
クローズドクエスチョンは話しやすい反面、話したいことを自由に話せないというデメリットもあります。相手に自由に話してもらえるような環境作りが大事になってくるのです。
②丁寧に受け止めてから質問する
「風邪っぽくてのどが痛いのよ」と言われたら、『風邪っぽくてのどが痛いんですね』と質問の前に共感の言葉を伝えると、受け止めてもらっているという安心感が芽生えます。こちらはオウム返しではなく、伝え返しといいます。
「風邪っぽくてのどが痛いのよ」
✖「それでしたらこちらの風邪薬がおすすめです」
〇「風邪っぽくてのどが痛いのですね。それでしたらこちらの…」
③間を大切にする
一方的に話すより『間』を大切にして相手の悩みや不安を聴かせてもらえる様に意識しましょう。相手の本当のニーズをくみ取るために『間』を大切にして、一泊おいてから話をしましょう。まずはしっかりと聴くことが大切なのです。
5.コミュニケーションの営業、販売への活かし方
①視覚的要素:見た目の印象(服装・髪型・化粧・表情)
・視覚的要素・・・55%
②聴覚的要素:声の印象(声のトーン・スピード・間・イントネーション等)
・聴覚的要素・・・38%
③言語:話の内容(短時間に相手に伝えられる技術)
・言語・・・7%
という数字を先ほど述べました。
会社では様々商品知識であったりお金の仕組みであったりを一生懸命に学んでいると思います。しかし、知識は伝わらなくては意味はないのです。せっかく学んだ知識を活かすには、やはりコミュニケーションスキルを磨くことが大切なのです。知識を伝えお客様に満足してもらうことが出来るよう、コミュニケーションスキルを身に付けましょう。信頼関係を構築できるようになれば、きっとお客様から次回もあなたに声がかかり、永続的な効果も期待できるようになるのです。